便秘の4タイプ「巡らせる力」が弱い便秘|作れているのに、なぜ出てこない?



「食物繊維を摂っているのに便秘が改善しない」
「水を飲んでいるのに便が出ない」
「便秘解消のために食事に気をつけているのに、なかなかスッキリしない」
そんなお悩みはありませんか?
便秘対策というと、
- 食物繊維を摂る
- 水を十分に飲む
- 発酵食品を食べる
など、身体に「何を入れるか」に注目しがちです。
もちろん、便の材料となる食事や水分を適切に摂ることは大切です。
でも、材料があれば、それだけで便は出るのでしょうか?
私たちの身体は、食べたものを消化・吸収し、不要になったものを便として形づくり、大腸の中を移動させ、最終的に身体の外へ排泄しています。
つまり、便秘を考えるときには、便を作ることだけでなく、便を運ぶ力にも目を向けることが大切なのです。
今回は、私が便秘を4つの力に分けて考えるときの、②「巡らせる力」について解説します。
西洋医学と東洋医学、それぞれの視点から、便秘と腸の動き、生活リズム、ストレスとの関係を見ていきましょう。
便秘の原因は?「巡らせる力」が弱いときに考えたいこと
例えば、こんなことはありませんか?
- 一日中座っていることが多い
- 運動する習慣がほとんどない
- 身体が冷えやすい
- お腹や身体がこわばっている
- 呼吸が浅くなりがち
- 朝食を食べないことが多い
- 朝はいつも慌ただしい
- 便意があっても後回しにしてしまう
- 数日間、便が出ないことがある
- 身体を動かした日や旅行先などで便通が変わる
- ストレスや緊張によってお腹の調子が変わる
もちろん、これらに当てはまるからといって、必ずしも「巡らせる力」が弱いと判断できるわけではありません。
便秘には、腸の動きや排便の仕組み、食事、薬の影響、病気など、さまざまな要因が関係します。
ただ、便の材料を摂ることだけに注目するのではなく、便が作られてから排泄されるまでの流れに目を向けると、これまでとは違った便秘対策が見えてきます。
西洋医学から見る便秘と「巡らせる力」
① 大腸は便を運ぶ働きをしている
大腸は、単に便を溜めておくための器官ではありません。
小腸から送られてきた内容物から水分や電解質を吸収しながら便を形づくり、直腸の方向へ移動させています。
そのために、大腸の筋肉は収縮と弛緩を繰り返しています。
内容物を混ぜるような動きもあれば、便をより長い距離にわたって移動させる大きな収縮もあります。
私たちは、
「右から左へ動かして」
「そろそろ直腸へ送って」
などと指示しているわけではありません。
それでも大腸は、腸管神経系や自律神経、ホルモンなど、さまざまな仕組みによる調節を受けながら働いています。
つまり、排便はトイレに座った瞬間だけに始まるものではないということ。
そのずっと前から、大腸は内容物を混ぜたり、少しずつ運んだりしているのです。
腸の動きが低下すると、便が大腸内に長くとどまり、水分が過剰に吸収されて硬くなることがあります。
その結果、便が出にくくなることもあります。
② 食事が大腸の動きを促す「胃結腸反射」
便秘対策を考えるうえで、知っておきたい身体の仕組みがあります。
それが「胃結腸反射」です。
胃に食べ物が入って胃が広がることなどをきっかけに、大腸の運動が活発になる反応をいいます。
「食事をしたら急にトイレに行きたくなった」
そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。
これは、食べたものが数分で大腸まで到達したということではありません。
新しい食べ物が胃に入ったことをきっかけに、すでに大腸にある内容物を移動させる反応が起こっているのです。
この反応は食後、特に朝食後にも起こりやすいため、食事のタイミングや排便習慣を整えることは、便秘対策の一つになります。
例えば、
- 朝起きたら水分を摂る
- 無理のない範囲で朝食を摂る
- 食後にトイレへ行く時間を確保する
- 便意を感じたら、できるだけ我慢しない
こうした毎日の習慣が、排便のリズムを支えます。
一方で、朝食を抜いて急いで家を出たり、便意を感じても時間がないからと我慢したりする生活が続いていると、身体から届く排便のサインを生かしにくくなることがあります。
ただし、朝食を食べれば必ず便秘が改善するというわけではありません。
大切なのは、自分の身体の状態や生活リズムを観察することです。
私自身、以前はお腹が空いていなくても、無理に朝食を食べることがありました。
けれど、自分の身体の状態に目を向けるようになってからは、お腹の空き具合に合わせて食事の時間を調整したり、よく噛んで食べたりするようになりました。
身体の声を聞くことを意識するようになり、私自身の過敏性腸症候群の症状も落ち着いていきました。
もちろん、これは私個人の経験であり、同じ方法で誰もが症状の改善を期待できるわけではありません。
朝食を食べていない方も、ただ朝食を食べるようにすればよいとは限りません。
今の身体の状態や食欲、排便のリズムを観察し、自分に合った生活習慣を見つけていくこと。
それも、便秘と向き合ううえで大切な視点だと感じています。
③ 運動不足と便秘の関係
「便秘には運動がいい」
と聞いたことがある方も多いでしょう。
でも、便秘改善のために激しい運動をしなければならないわけではありません。
例えば、
- 散歩をする
- 階段を使う
- 家事をする
- 軽いストレッチをする
- 長時間同じ姿勢で過ごさない
といった、日常生活の中で身体を動かすことから始められます。
適度な身体活動は、健康的な生活習慣を支える要素の一つです。身体活動と便秘との関連も研究されていますが、運動だけですべての便秘が解消するわけではありません。
また、「運動すれば腸が物理的に押されて便が出る」とだけ考えるのは、少し単純すぎます。
身体活動、食事、睡眠、自律神経、腸管運動などは、互いに影響し合っています。
だからこそ、「巡らせる力」は腸だけを無理に動かすことではなく、身体全体が自然に動ける生活を整えることと考えてみてください。
例えば、こんな生活になっていませんか?
夜更かしして睡眠不足
↓
朝起きられない
↓
朝食を抜く
↓
時間がなくて慌ただしい
↓
便意が来てもトイレに行けない
↓
日中も疲れてほとんど動かない
こうした生活が続いていれば、食物繊維を意識して摂っていても、排便のリズムが整いにくいことがあります。
反対に、
しっかり眠る
↓
朝起きて水分や食事を摂る
↓
食事をきっかけに消化管が動く
↓
日中は適度に身体を動かす
↓
便意が来たら我慢せずトイレへ行く
このように、身体が本来持っている排便のリズムを生かせる生活を目指してみましょう。
④ 血液循環と腸の働き
「巡る」と聞いて、もう一つ忘れてはいけないのが血液循環です。
心臓は絶えず拍動し、血液を全身へ送り出しています。
血液は、酸素や栄養素、ホルモンなど、身体が働くために必要なものを各組織へ届け、代謝によって生じた物質を運ぶ役割も担っています。


もちろん、「血流が悪いから便秘になる」と単純に説明できるわけではありません。
しかし、腸もまた、血液から酸素や栄養を受け取りながら働いている身体の一部です。
食べたものを消化・吸収すること。
便を形づくること。
腸の筋肉が動くこと。
不要になったものを排泄すること。
身体では、これらがバラバラに起こっているわけではありません。
「作る力」と「巡らせる力」はつながっている。
そう考えると、便秘を腸だけの問題として捉えるのではなく、身体全体の働きや生活習慣にも目を向けることが大切だと分かります。
東洋医学から見る便秘。「肝」と気の巡り
では、東洋医学では「巡らせる力」をどのように考えるのでしょうか。
ここで注目したいのが、五臓の一つである「肝(かん)」です。
ただし、ここでいう「肝」は、西洋医学の肝臓という臓器そのものと同じ意味ではありません。
東洋医学では、「肝」には「疏泄(そせつ)」という重要な働きがあると考えます。
疏泄とは、簡単にいえば、気の流れをのびやかに保ち、滞りなく巡らせる働きです。
身体のさまざまな機能や感情の状態などを含めて捉える、東洋医学独自の考え方です。
ストレスで便通が変わるのはなぜ?
東洋医学では、肝の疏泄がうまく働かず、気の流れが滞った状態を「気滞(きたい)」と呼びます。
特徴の一つとして、精神的なストレスや感情の変化と、身体の症状が連動する状態が挙げられます。
例えば、
- 仕事が忙しくなると便秘になる
- 旅行へ行くと急に便が出なくなる
- 緊張するとお腹が張る
- イライラすると便通が変わる
- 仕事から解放された休日になると便が出る
- 月経周期に伴って便通が変化する
こうした経験はありませんか?
ストレスと腸の働きには、現代医学でも関係があることが知られています。脳と腸は神経系などを介して相互に影響し合っており、心理的なストレスによって腹痛や便通の変化が起こることがあります。
一方、東洋医学では、こうした状態を捉える際に「肝の疏泄」や「気滞」といった考え方を用いることがあります。
人によっては、何日か便が出ないと思ったら、その後に軟便になるなど、便秘と下痢・軟便を繰り返すこともあります。
ただし、こうした症状だけで「肝タイプの便秘」と判断することはできません。過敏性腸症候群など、医療機関での評価が必要な場合もあります。
だからこそ、便を柔らかくすることや食物繊維を増やすことだけではなく、
「自分の便通は、どんなときに変化するのだろう?」
という視点を持つことも大切です。
東洋医学の「肝」と現代医学の肝臓は同じではない
ここは、とても大切なポイントです。
東洋医学の「肝の疏泄」と、西洋医学の肝臓の働きを、そのまま同じものとして説明することはできません。
現代医学における肝臓は、栄養素の代謝や貯蔵、胆汁の生成、薬物などさまざまな物質の処理を行う臓器です。
一方、東洋医学の「肝」は、気の巡りや感情の状態なども含めた機能概念です。


ですから、
「ストレスがあるから肝臓が悪くなって便秘になった」
という意味ではありません。
西洋医学では、腸管運動や神経系、食事、身体活動、生活リズムなどを評価します。
東洋医学では、「滞っていないか」「のびやかに動けているか」という身体全体の状態を捉えます。
それぞれ異なる考え方ですが、両方の視点を知ることで、自分の身体を見つめるきっかけが増えるのではないでしょうか。
便秘を改善するために、今日から見直したい5つの習慣
ここまで、西洋医学と東洋医学の視点から「巡らせる力」について見てきました。
では、便秘対策として、日常生活で何を意識すればよいのでしょうか。
まずは、次の5つを振り返ってみてください。
1. 水分を適切に摂る
水分不足は便が硬くなる要因の一つです。
まずは、日常的に十分な水分を摂れているかを確認してみましょう。
ただし、水をたくさん飲めば必ず便秘が解消するわけではありません。必要な水分量は、体格や活動量、気候、健康状態などによっても異なります。
2. 食事と排便のリズムを意識する
食事は胃結腸反射を促すきっかけになります。
朝食後など、自分が便意を感じやすい時間帯を観察してみましょう。
毎日決まった時間にトイレへ行く習慣をつくることも、一つの方法です。
朝食を無理に食べるのではなく、自分の食欲や体調に合わせて、無理なく続けられるリズムを探してみてください。
3. 日常生活の中で身体を動かす
長時間座りっぱなしになっていませんか?
まずは、少し歩く、姿勢を変える、軽くストレッチをするなど、できることから始めてみましょう。
激しい運動をすることよりも、無理なく継続できる習慣をつくることが大切です。
4. 便意を我慢しない
便意があっても、忙しいからと後回しにしていませんか?
便意を繰り返し我慢すると、排便のタイミングを逃しやすくなることがあります。
便意を感じたら、できるだけ早めにトイレへ行くことを意識してみましょう。
5. ストレスや睡眠にも目を向ける
仕事が忙しいとき、緊張しているとき、睡眠が不足しているときなどに便通が変わることはありませんか?
便通と一緒に、その日の睡眠時間やストレスの状態を記録してみるのもおすすめです。
自分の身体にどのような変化が起きやすいのかを知ることが、生活習慣を見直すヒントになります。
なお、便秘が長く続く場合や、血便、強い腹痛、嘔吐、意図しない体重減少などがある場合は、自己判断で対処せず医療機関に相談してください。
「もっと腸を動かそう」ではなく、「流れを邪魔していないか?」
巡らせる力が弱いと感じる方ほど、
「運動しなきゃ」
「腸を揉まなきゃ」
「もっと頑張って動かさなきゃ」
と思うかもしれません。
でも、まず見直してほしいのは、毎日の小さなリズムです。
朝、起きられていますか?
食事や水分は十分に摂れていますか?
長時間、同じ姿勢で過ごしていませんか?
便意を我慢していませんか?
呼吸が浅くなっていませんか?
忙しすぎて、自分の身体の感覚を無視していませんか?
そして、東洋医学の視点からは、
言いたいことをずっと我慢していないか。
イライラを溜め込んでいないか。
毎日の予定を詰め込みすぎていないか。
そんなことも振り返ってみます。
身体は機械ではありません。
食事・活動・休息・睡眠・感情など、さまざまな影響を受けながら、一日のリズムをつくっています。
身体は今日も「運ぼう」としている
便が3日出ないと、
「私の腸は動いていない」
「また便秘になってしまった」
と、自分の身体を責めてしまう方もいるかもしれません。
でも、身体の中では、その間もさまざまな働きが続いています。
心臓は血液を送り、血管は必要なものを運び、胃腸は食べたものを処理し、大腸は内容物を混ぜたり移動させたりしています。
身体は決して、あなたを困らせようとして止まっているわけではありません。
だからこそ、
「どうしたら無理やり出せるのだろう?」
と考えるだけではなく、
「私の身体が本来のリズムで動くために、何を見直せるだろう?」
と考えてみてください。
身体を少し動かす。
朝の時間を少しだけ確保する。
便意を後回しにしない。
深く呼吸する。
ゆっくり休む。
ストレスや感情にも目を向ける。
便秘改善は、腸を頑張らせることだけではありません。
身体全体の働きや生活習慣を見直し、自分に合った排便のリズムを整えていくこと。
それが、②「巡らせる力」を整えるという考え方です。
あなたの便秘は、どのタイプ?
便秘の原因や状態は、人によって異なります。
便を作ること、巡らせること、出すことなど、身体のどの働きに目を向けるかによって、対策の考え方も変わってきます。
そして、便がきちんと直腸まで運ばれていても、最後の出口でうまく排泄できない人もいます。
次の記事では、
「便意はあるのに出ない」
「力んでもスッキリしない」
そんな③「出す力」が弱い便秘について、大腸・直腸・肛門・骨盤底筋、そして東洋医学の「肺・大腸」という視点から見ていきます。
あなたの便秘は4つのタイプのどれ?
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※本記事は、便秘についての一般的な情報を提供するものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。






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