便秘の4タイプ③「出す力」が弱い便秘|便意はあるのに、なぜ出せない?



「便意はあるのに、トイレに行っても出ない」
「毎回ものすごく力まないと出ない」
「やっと出ても、まだ残っている感じがする」
こんな便秘に悩んでいませんか?
便秘というと、多くの人が「腸の動きが悪い」「食物繊維が足りない」と考えます。
もちろん、それが原因になっている人もいます。
でも、便はちゃんと作られている。大腸の中をある程度移動してきている。
それなのに、最後の最後でうまく外へ出せない。
そんなタイプもあります。
これが、私が便秘を4つの力に分けて考えるときの③「出す力」が弱いタイプです。
便秘の4タイプ③「出す力」とは?排便は「押し出す」だけではない
実は排便は、ただお腹に力を入れて「押し出す」だけの動作ではありません。
力を入れるところと、緩めるところ。
この二つが絶妙に協力することで、私たちは便を身体の外へ出しています。
今回は、この「出す力」を西洋医学と東洋医学、両方の視点から見ていきましょう。
「出す力」が弱い便秘とは?便意はあるのに出ない人の特徴
こんなことに心当たりはありませんか?
- 便意はあるのに出ない
- 毎回強くいきんでいる
- トイレに10分以上座っている
- 出てもスッキリせず、残便感がある
- 出口まで来ている感じがするのに出ない
- 便意を我慢することが多い
- 外出先では排便できない
- トイレをいつも急いで済ませている
- 便を出すためにお腹へ強く力を入れている
こうした場合、「便を柔らかくする」「腸をもっと動かす」だけでは解決しないことがあります。
なぜなら、問題が「便を作るところ」ではなく、「最後に排泄するところ」にある可能性があるからです。
西洋医学で見る「出す力」|排便のしくみ
① 大腸は便を出口まで運んでくれる


私たちが食べたものは、胃や小腸で消化・吸収されたあと、大腸へ送られます。
大腸は長さ約1.5メートル。
ここで水分や電解質などが吸収され、
内容物は徐々に便らしい状態へ変化していきます。
そして大腸の運動によって、
便は少しずつ直腸方向へ運ばれていきます。
つまり、排便はトイレに座ってから突然始まるのではありません。
私たちが気づいていない間にも、
身体は便を作り、運び、出口へ近づけてくれています。
ところが、便が直腸まで来たからといって、
それだけで排便が完了するわけではありません。
ここから先には、さらに精密な身体の仕組みがあります。
② 直腸に便が入ると「そろそろ出したい」と教えてくれる|便意は身体からのお知らせ
便が大腸を通って直腸へ入ると、直腸の壁が伸ばされます。
その刺激が神経を通じて伝わることで、
私たちは「トイレに行きたい」という便意を感じます。
つまり便意は、
「困ったな。またトイレに行きたくなった」
という邪魔な感覚ではありません。
身体から届く、
「便が出口まで来ていますよ」
という大切なお知らせなのです。
ところが、仕事中だから。
家事が忙しいから。
外のトイレではしたくないから。
子どもの世話をしているから。
そんな理由で便意を何度も我慢している人もいます。
せっかく身体が教えてくれた排便のタイミングを、
生活の都合で後回しにしているわけです。
「出す力」を整えるためには、
まず身体から届く便意を大切にすることも重要です。
臓器や細胞たちが頑張って作って、運んでくれた便です。
万障お繰り合わせのうえ、トイレに足を運んであげようではありませんか!
③ 排便は「力む」だけではできない|押し出す力と出口を緩める力
ここが「出す力」で一番知ってほしいところです。
便を出すときには、
お腹にある程度の圧をかける必要があります。
その一方で、便の出口側では肛門周囲や骨盤底の筋肉が適切に緩む必要があります。
つまり排便するとき、身体は
「押し出すために働く」
と同時に、
「出口を緩める」
という、一見すると正反対の動きを協調させています。
アクセルだけを踏めばいいわけではありません。
出口側では、ちゃんとブレーキを緩める必要があるのです。
だから、
「出ない!」
「もっと力まなきゃ!」
と一生懸命いきんでいても、
出口側の筋肉まで一緒に緊張してしまえば、かえって出しにくくなることがあります。
「頑張っているのに出ない」のではなく、
「頑張り方が身体の仕組みと合っていない」
場合もあるのです。
④ 骨盤底筋は「鍛えればいい」だけではない
骨盤底筋という言葉を聞くと、
「弱っているなら鍛えなければ」
と思う人も多いかもしれません。
もちろん骨盤底筋には、骨盤内の臓器を支えたり、
排尿や排便に関わったりする大切な役割があります。
でも、排便に関しては「強ければ強いほどいい」というものではありません。
大切なのは、
必要なときには働き、
必要なときには緩められること。
排便するときには、
骨盤底筋や肛門周囲の筋肉が適切に緩むことが必要です。
つまり、「出す力」は単純な筋力ではなく、
「力を入れる」と「力を抜く」を身体が適切に使い分けられること
と考えた方が分かりやすいのです。
⑤ トイレでの姿勢も排便に関係する|足台で前傾姿勢に
意外と見落とされるのが、トイレでの姿勢です。
洋式トイレに普通に座ると、
股関節や膝の位置によっては、排便しやすい姿勢になりにくいことがあります。
そこで役立つことがあるのが足台です。
足元に台を置いて膝を少し高くし、軽く前傾することで、しゃがむ姿勢に近づけます。
「何を食べても変わらなかったのに、姿勢を変えたら出しやすくなった」
という人がいても不思議ではありません。
便秘対策というと食べ物ばかりに目が行きますが、
どうやって出しているのか
にも目を向けてみてほしいのです。
東洋医学では便秘を「肺」と「大腸」から考える
では、東洋医学では「出す力」をどう見るのでしょうか。
ここで注目したいのが「肺」と「大腸」です。
肺と大腸は「表裏」の関係|肺の「粛降」と大腸の働き
東洋医学には、五臓と六腑をそれぞれ関連づけて考える
「表裏」という考え方があります。
その中で、
肺と大腸は表裏関係
にあるとされています。
ただし、ここでいう「肺」は
現代医学の肺という臓器そのものだけを指しているわけではありません。
東洋医学の肺は、呼吸だけではなく、
気や津液の働きなども含めた機能概念です。
そして肺には「粛降(しゅくこう)」といって、
気などを下方向へ降ろす働きがあると考えます。
この「下へ降ろす」という方向性が、
排便とも関係すると捉えられてきました。
大腸は便を伝え送り、
最終的に身体の外へ排泄する役割を担うと考えます。
つまり東洋医学では、
肺の「下へ降ろす」働きと、
大腸の「外へ出す」働きが、
お互いに関連していると見るのです。
肺タイプの便秘では「乾燥」も大切なキーワード|コロコロ便・硬い便
東洋医学の肺を考えるとき、
もう一つ便秘と関係するのが「潤い」です。
肺や大腸の津液が不足するような状態では、
大腸が乾燥し、便も乾燥して硬くなりやすいと考えます。
コロコロした便。
硬くて出しにくい便。
場合によっては「石のように硬い」と感じる便。
こうした便では、「押し出す力」だけを見るのではなく、
身体の潤いという視点も必要になります。
便秘の4つの力はつながっている
ここでも分かるように、4つの力は完全に独立しているわけではありません。
便そのものが硬すぎるなら
①「作る力」も関係します。
大腸の中をなかなか移動しないなら
②「巡らせる力」も関係します。
出口で力が抜けないなら
④「緩む力」も関係します。
その中でも、「便は来ているのに最後に出せない」
という部分を中心に見たものが③「出す力」です。
西洋医学の肺と、東洋医学の「肺」は同じものではありません
ここは「肝」の記事と同じように、分けて考える必要があります。
現代医学の肺は、呼吸によって酸素を身体へ取り込み、二酸化炭素を排出する臓器です。
一方、東洋医学の「肺」は、呼吸だけではなく、
気や津液の働き、大腸との関係などを含んだ、より広い機能概念です。
ですから、
「肺が悪いから便秘になる」
という単純な意味ではありません。
また、東洋医学でいう「肺の粛降」を、
現代医学の特定の生理現象と同一視することもできません。
西洋医学と東洋医学は、身体を見ている枠組みそのものが違います。
だからこそ私は、
西洋医学では「実際に排便するとき、身体で何が起きているのか」を見る。
東洋医学では「その人の身体全体に、どんな偏りがあるのか」を見る。
このように両方の視点を使い分けています。
「もっと頑張って出す」から卒業する
出す力が弱い人に一番伝えたいのは、
「もっと頑張って出さなくていいかもしれない」
ということです。
便秘になると、どうしても「出すこと」が目的になります。
強くいきむ。
長時間トイレに座る。
お腹を強く押す。
それでも出ないと、
「私の身体は出す力がない」
と思ってしまいます。
でも実際の排便に必要なのは、力だけではありません。
便が直腸へ届くこと。
便意を感じること。
トイレへ行けること。
適切な姿勢をとること。
腹圧がかかること。
出口側が緩むこと。
これらが協力して、ようやく排便が起こります。
身体は想像以上に複雑なことを、毎回自動的にやってくれているのです。


今日からできる「出す力」の整え方
だから今日から、
便意が来たらできるだけ後回しにしない。
トイレでは足台などを使って姿勢を工夫する。
息を止めて全力でいきみ続けない。
そして、
「ちゃんと出さなきゃ」
と身体を追い込まない。
そんなところから始めてみてください。
まとめ|便秘は、あなたの身体が怠けている証拠ではない
便秘は、あなたの身体が怠けている証拠ではありません。
もしかすると身体は、
「便はここまで運んだよ」
「でも、出口をもう少し緩めてほしいよ」
と教えてくれているのかもしれません。
便秘改善で必要なのは、身体をさらに頑張らせることではなく、
「今、どこでつまずいているんだろう?」
と身体の声を聞いてあげること。
そして、この「出口を緩める」という話は、
次の④「緩む力」にもつながっていきます。
食事も変えた。
運動もした。
便もちゃんと作られている。
それでもなぜか出ない。
次の記事では、そんな人が見落としやすい
④「緩む力」について、自律神経・呼吸・骨盤底筋、
そして東洋医学の「肝・心」という視点から見ていきます。
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※本記事は、便秘についての一般的な情報を提供するものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。








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