便秘の4タイプ①「作る力」が弱い便秘|食べているのに便が作れない理由

便秘になると、まず何を思い浮かべるでしょうか。

「食物繊維が足りないのかな?」
「水をもっと飲んだ方がいい?」
「ヨーグルトを食べようかな?」

もちろん、これらが役立つ人もいます。
でも、便秘の方を見ていると、そもそもその前の段階でつまずいているケースがあります。
それが、私が便秘の4タイプの一つとして考えている「作る力」が弱いタイプです。

便秘の4タイプとは?「作る力」は便をつくる土台

作る・巡らせる・出す・緩む。

この4つのうち「作る力」とは、単純に「便をたくさん作る力」という意味ではありません。
食べ物を身体に入れ、消化し、吸収し、便ができていくまでの土台となる力。
今回はこの「作る力」を、西洋医学と東洋医学、両方の視点から見ていきましょう。

「作る力」が弱い便秘とは?当てはまる人の特徴

例えば、こんな人はいないでしょうか。

・食事の量そのものが少ない
・朝食を抜くことが多い
・ダイエットを繰り返している
・脂質を極端に避けている
・食物繊維ばかり意識している
・食後に胃がもたれやすい
・食べるとお腹が張りやすい
・便の量が少ない
・コロコロした便が少量しか出ない

こうした人の場合、「どうやって出すか」を考える前に、
そもそも便を作る土台は整っているのか?を考える必要があります。

便は「食べ物のカス」だけではない|食物繊維だけで解決しない理由

便というと「食べ物のカス」というイメージがあるかもしれません。
しかし実際の便には、消化されなかった食物成分だけでなく、
水分、腸内細菌、腸管から脱落した細胞など、さまざまなものが含まれています。

だからこそ、食物繊維だけを増やせばすべて解決するわけではありません。
食べる量、水分、栄養のバランス、そして消化・吸収する身体の状態まで含めて見ていく必要があります。

西洋医学から見る「作る力」|胃・膵臓・小腸の働き

① 胃|まず食べ物を受け取り、消化を始める

私たちが食べたものを最初に本格的に受け止めるのが胃です。

胃は単なる「食べ物を一時的に入れておく袋」ではありません。
胃の筋肉が動いて食べ物を胃液と混ぜ合わせ、胃酸や消化酵素の働きによって消化を進めます。

特にタンパク質の消化は胃から本格的に始まります。
胃液は非常に酸性で、胃内は条件によってpH1〜2程度の強い酸性になることがあります。

それほど強い酸を扱いながら、胃は粘液や重炭酸などによる防御機構によって、自分自身を守っています。

私たちは食事のたびに、 「胃酸を出してください」 「今から胃を動かしてください」 なんて指示していません。
それでも身体は食べ物を受け取ると、自動的に消化の仕事を始めてくれます。
「栄養のあるものを食べる」ことはもちろん大切です。
でも、その前提には、 食べたものを受け取り、次へ渡してくれる胃の働き があるのです。

② 膵臓|食べ物を「吸収できる形」にする消化の助っ人

胃から送られた食べ物は、十二指腸へ進みます。

ここで重要な役割を果たすのが膵臓です。
膵臓は消化を助ける「膵液」を十二指腸へ送り出します。

膵液には、 糖質の消化を助けるアミラーゼ、 脂質の消化を助けるリパーゼ、 タンパク質の消化を助けるプロテアーゼ類 などが含まれています。 成人では一般に、膵液は1日に約1〜2リットル分泌されるとされます。

例えば、お肉を食べて「今日はタンパク質をしっかり摂った」と思ったとしても、
お肉のタンパク質がそのまま筋肉や皮膚になるわけではありません。
消化管の中で小さな単位まで分解され、小腸から吸収されて、初めて身体が利用できるようになります。

つまり、 「食べた」=「身体が利用できた」ではない ということ。
これは「作る力」を考える上で、とても重要なポイントです。

③ 小腸|栄養を吸収する、食べ物と「私」の境界線

そして、消化された栄養素を実際に身体の内側へ取り込む中心的な場所が小腸です。

小腸は大人の体では、なんと、6から7メートルに及ぶ長い臓器です。
今あなたがいる場所から6メートル先まで移動してみてください。
参考までにあなたが両手を伸ばした長さはあなたの身長と同じくらいです。

それほど長いちくわ状のものがあなたのお腹の中に入っている、
と言うのは衝撃的ではないでしょうか?

そして、小腸の内側は単なるツルツルの管ではなく、
ヒダや絨毛、さらに細胞表面の微絨毛によって、栄養を吸収しやすい構造になっています。

ここから、 糖質は主に単糖類として、 タンパク質はアミノ酸や小さなペプチドとして、
脂質は消化・吸収のプロセスを経て、 身体の中へ取り込まれていきます。
ビタミンやミネラル、水分などの吸収にも小腸は大きく関わります。

考えてみれば、すごいことです。
口から入れただけの食べ物は、まだ「自分」ではありません。

消化され、小腸の壁を越えて吸収されて初めて、身体の中で利用できる栄養になっていきます。

だから私は、「作る力」を考えるときに、 何を食べていますか?
だけではなく、 その食べ物を受け取れる身体になっていますか? という視点も大切にしています。

大腸で「便」として仕上げられていく

小腸を通過した内容物は、最終的に大腸へ送られます。

大腸では、水分や電解質などが吸収されながら、内容物が少しずつ便として形を変えていきます。
ですから大腸も、もちろん便を作る過程に関係しています。

ただし、今回の「作る力」の記事では、主役を胃・膵臓・小腸として考えます。
大腸については「巡らせる力」「出す力」の記事で、さらに詳しく見ていきます。

身体は本来すべてつながっているため、臓器をきれいに4タイプへ分割できるわけではありません。
この4分類は、「自分の便秘はどの段階でつまずいているのだろう?」
と理解しやすくするための整理だと考えてください。

東洋医学で「作る力」を考えると「脾」

では、東洋医学ではどう考えるのでしょうか。
「作る力」を考えるときに中心となるのが、五臓の一つである「脾(ひ)」です。

ここで注意したいのは、東洋医学の「脾」は、
西洋医学でいう脾臓(spleen)そのものを意味しているわけではないということです。

脾の「運化(うんか)」とは?食べ物を身体の力に変える働き

東洋医学では、脾は食べ物から身体に必要なものを取り出し、
それを全身へ運ぶ働きを担うと考えます。
これを「運化(うんか)」といいます。

ざっくり言えば、

食べる
↓
消化する
↓
必要なものを取り出す
↓
身体が使えるものとして巡らせる

という一連の働きを、現代医学とは違った枠組みで捉えたものです。

便秘なのに軟便?「脾」が弱っているときのサイン

そのため、東洋医学で「脾」の働きが弱っている状態では、
食欲がない、 食後にお腹が張る、 疲れやすい、 身体が重だるい、 軟便になりやすい、 など、
消化吸収に関連するさまざまなサインを見ます。

便秘なのに「軟便?」と思うかもしれません。
実はここが東洋医学の面白いところです。

脾の働きが弱い人は、単純に「便が硬くなる」とは限りません。
便を作り、運び、排泄へつなげる身体全体の力が弱くなっている と捉えるため、すっきり出せない、便が少ない、出ても残る感じがする、あるいは便秘と軟便を繰り返すなど、さまざまな形として現れると考えます。

西洋医学と東洋医学は「同じことを言っている」のではない

ここは大切なので、あえて書いておきます。

西洋医学の「胃・膵臓・小腸」と、
東洋医学の「脾」が、そのまま同じものというわけではありません。

西洋医学は、臓器の構造や消化酵素、吸収などの生理機能を細かく見ていきます。
一方、東洋医学は、食べ物を受け取り、それを身体の力へ変えていく一連の機能を「脾」という大きな概念で捉えます。

私はどちらか一方だけで身体を見るのではなく、
「身体の中で実際に何が起きているのか」という西洋医学の視点と、
「その人の身体全体では何が起きているのか」という東洋医学の視点 を組み合わせて見ることで、
その人の便秘を理解しやすくなると考えています。

「何を足す?」の前に、自分の身体を見てみよう

便秘になると私たちはすぐ、
「何を食べればいい?」
「どのサプリを飲めばいい?」
「食物繊維をもっと増やそう」

と、何かを「足す」ことを考えがちです。

もちろん、材料不足なら食事を見直す必要があります。
でも、「作る力」という視点から見ると、チェックしたいのはそれだけではありません。

「作る力」のセルフチェック

そもそも食事量は足りている?
極端に脂質を避けていない?
水分は足りている?
食後にいつも胃が重くない?
食べるとすぐお腹が張らない?
よく噛まずに急いで食べていない?

こうして見ていくと、 「便秘=大腸の問題」 という見方から、
「食べ物を受け取るところから、すでに排便は始まっている」 という見方に変わってきます。

まとめ|身体は、食べたものを「あなた」に変え続けている

私たちは毎日、
「今日は身体にいいものを食べられなかった」
「もっとタンパク質を摂らなきゃ」
「食物繊維が足りない」
と、自分の食事を採点することがあります。

でも、その一口を食べた後。
胃は食べ物を受け取り、 膵臓は消化を助ける液を送り、 小腸は必要な栄養を吸収し、
その先では大腸が便を形づくっています。

私たちが意識していないところで、身体は毎日働き続けています。
だから便秘のときにも、
「どうして私の身体はちゃんと出せないの?」 と責めるだけではなく、
「私の身体は、どの段階で助けを必要としているんだろう?」 と見てあげてほしいのです。

食べること。 消化すること。 吸収すること。 そして便を作ること。
そのどれも、当たり前ではありません。
「作る力」が弱い便秘を改善する第一歩は、
何か特別なものを大量に足すことではなく、今の自分がきちんと食べられているか、
そして食べたものを受け取れる状態にあるかを知ること。

便秘は、身体から届いた一つのサインです。
「もっと頑張って出して」ではなく、
「まず、ちゃんと材料を届けてほしい」
「消化できるように助けてほしい」 という身体からのメッセージかもしれません。

次回は、便は作れているのにうまく運ばれない、
②「巡らせる力」が弱い便秘について、西洋医学と東洋医学の両方から見ていきます。

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※本記事は、便秘についての一般的な情報を提供するものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

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この記事を書いた人

ますこゆかりのアバター ますこゆかり セルフリライアンス株式会社 代表取締役

セルフリライアンス株式会社代表の「ますこゆかり」です。40代の便秘や肩こり、冷え性などお悩みを解決すべく「脱ためこみ女」の講座活動を行っています。たった数分で腰痛やダイエット、アトピー改善できる方法なども紹介していますので、こういった症状にお悩みの方はぜひ参考にしていってください。お問い合わせはこちらからどうぞ。

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