便秘の4タイプ④「緩む力」が弱い便秘|頑張っているからこそ、出せない人がいる



食物繊維も摂っている。
水分も意識している。
発酵食品も食べている。
運動もしている。
整体にも通っている。
それなのに、なぜか便秘が改善しない。
そんな人に、ぜひ一度考えてほしいことがあります。
それが、私が便秘を4つの力に分けて考えるときの最後の一つ、
「緩む力」
です。
便秘改善には「頑張る力」だけでなく「緩む力」が必要
便秘というと、
「腸をもっと動かそう」
「腹筋をつけよう」
「食事をもっと改善しよう」と、
何かを足したり、身体をさらに頑張らせたりする方向へ行きがちです。
でも、排便という身体の仕組みを考えてみると、
実は「頑張る力」と同じくらい「緩む力」が必要です。
便秘の人の中には、力が足りないのではなく、
「いつも身体に力が入っていて、
必要なときにも抜けない」
という人もいるのです。
「緩む力」が弱い便秘の人に多い12の特徴
例えば、こんなことに心当たりはありませんか?
- 真面目で頑張り屋
- 人に迷惑をかけたくない
- 人に頼るのが苦手
- 嫌なことがあっても我慢する
- 周囲に気を遣いすぎる
- 頭の中でいつも何かを考えている
- 休んでいても「何かしなきゃ」と思う
- 呼吸が浅い
- 肩や顎、お腹に力が入りやすい
- 便意があっても仕事や家事を優先する
- 外出先では便が出にくい
- 旅行すると便秘になりやすい
もちろん、これらに当てはまるから便秘になる、
と単純に言えるわけではありません。
でも、身体と心は
完全に別々に働いているわけではありません。
ストレスや緊張によって、
呼吸や筋肉の緊張、
消化管の働きなどが変化することがあります。
「便秘なのだから腸だけ見ればいい」
と考えていると、
こうした部分が盲点になることがあります。
西洋医学から見る「緩む力」と便秘の関係
① 腸と脳はつながっている|ストレスと便秘をつなぐ「脳腸相関」
腸は、脳から独立して勝手に動いているわけではありません。
消化管には「腸管神経系」という大きな神経ネットワークがあり、
自律神経や脳とも相互に情報をやり取りしています。


この脳と腸の双方向の関係は、「脳腸相関」と呼ばれています。
緊張するとお腹が痛くなる。
旅行すると便秘になる。
大事な予定の前になると下痢をする。
安心できる場所に帰ってくると、急にトイレに行きたくなる。
こうした経験がある人もいるでしょう。
これは「気のせい」で片付けられるものではなく、
脳と消化管が神経系などを介して互いに
影響し合っていることとも関係しています。
だから、便秘を考えるときにも、
「何を食べた?」
だけではなく、
「最近、どんな状態で過ごしていた?」
という視点が必要になることがあります。
② 自律神経は消化管の働きにも関わっている|大切なのは「切り替える力」
私たちの身体には、自分の意思で細かく命令しなくても
身体の状態を調節してくれる自律神経があります。
交感神経と副交感神経です。
一般的には、緊張や活動時には交感神経の働きが高まり、
休息時には副交感神経の働きが高まります。
消化管も、この自律神経による調節を受けています。
ここで気をつけたいのは、
「交感神経=悪い」
「副交感神経=良い」
ということではありません。
仕事をするにも、運動するにも、
危険から身を守るにも交感神経は必要です。


大切なのは、
活動するときには活動し、休むときには休めること。
つまり「切り替えられること」です。
ずっとアクセルを踏み続けているような生活ではなく、
必要なときにブレーキを使える身体であること。
私は、この切り替える力も「緩む力」の一部として考えています。
③ 呼吸が浅いと身体も緊張しやすい|横隔膜と骨盤底の協調
緊張しているとき、
自分の呼吸を観察してみてください。
息が浅くなっていたり、
無意識に息を止めていたりすることがあります。
呼吸で大きな役割を果たしているのが横隔膜です。
息を吸うと横隔膜が下がり、吐くと上がります。
つまり呼吸をするたびに、
胸部だけでなく腹部にも圧の変化が起きています。
そして横隔膜と骨盤底は、
呼吸や腹圧の変化に合わせて協調して働いています。
だから私は便秘の人に、いきなり
「もっと腹筋を鍛えましょう」
というより、
「ちゃんと息を吐けていますか?」
と聞くことがあります。
排便は「力を入れる」だけでは成立しません。
呼吸を止めて全身を固めながら、
力いっぱい押し出そうとするよりも、
呼吸と腹圧、そして出口側の筋肉がうまく協調することが大切です。
④ 骨盤底筋は「鍛える」だけでなく「緩める」ことも必要


前回の「出す力」の記事でも触れましたが、
排便には骨盤底筋が関係します。
骨盤底筋は、骨盤の底で膀胱や直腸などを支えている筋肉群です。
排便するときには、お腹側では適度に圧を作りながら、
出口側では肛門周囲や骨盤底の筋肉が適切に緩む必要があります。
つまり、
力を入れるところは入れる。
緩めるところは緩める。
この協調が必要なのです。
ところが、日頃から全身に力が入りやすい人では、
トイレでも「出さなきゃ」と頑張るあまり、
出口側まで力んでしまうことがあります。
アクセルを踏みながら、同時にブレーキも踏んでいるような状態です。
だから「緩む力」が弱い人に必要なのは、
さらに頑張って鍛えることとは限りません。
自分が力んでいることに気づき、必要なところの力を抜けるようになること。
それも立派な便秘対策なのです。
旅行や外出先で便秘になるのはなぜ?「安心すると出る」は身体からのヒント
「家では出るけれど、旅行では出ない」
「仕事のある日は出ないのに、休日になると出る」
「家族がいると落ち着いてトイレに入れない」
そんな人もいます。
排便には、ある程度「安心して排泄できる環境」も大切です。
せっかく便意があっても、
あと5分で家を出なきゃ。
子どもを呼びに行かなきゃ。
仕事に戻らなきゃ。
誰かにトイレを待たれている。
そんな状態では、
身体の感覚よりも頭の中の予定を優先してしまいます。
「便意を感じたらトイレに行く」
たったそれだけのことでも、
自分の身体の要求を後回しにする習慣がある人にとっては、
意外と難しいことなのです。
東洋医学では便秘を「肝」と「心」から考える
ここからは東洋医学の視点です。
「緩む力」を考えるとき、
私は特に「肝」と「心」という二つの概念に注目します。
ただし、東洋医学の「肝」「心」は、
現代医学の肝臓や心臓そのものを意味するものではありません。
「肝」の疏泄と気滞|ストレスで便通が乱れる理由
東洋医学では、
肝には「疏泄」という働きがあると考えます。
簡単にいえば、気の流れをのびやかに保つ働きです。
ストレスや感情を抱え込み、
気の流れが滞った状態は「気滞」と捉えられることがあります。
イライラする。
ため息が多い。
胸やお腹が張る。
緊張すると便通が変わる。
便秘になったと思ったら、今度は軟便になる。
こうした「滞り」や「変動」のある状態を、
東洋医学では肝との関連から見ることがあります。
「心」は精神活動とも関係する
もう一つが「心」です。
東洋医学では心は血脈に関係するだけでなく、
「神(しん)を蔵す」と表現され、意識や精神活動などとも深く関係するものとして考えられています。
心配事が頭から離れない。
いつも誰かのことを気にしている。
眠っていても頭が休まらない。
自分の本当の気持ちよりも「こうするべき」を優先する。
そんな状態を、東洋医学では身体と切り離して考えません。


身体を整えるときに、食事や運動だけではなく、
「私は今、安心できているだろうか」
「ずっと頑張り続けていないだろうか」
という視点を持つことも大切です。
自己受容も「緩む力」の一つ
ここからは、医学的な便秘のメカニズムそのものというより、
私が便秘の方と関わる中で大切にしている視点です。
「もっとちゃんとしなきゃ」
「迷惑をかけてはいけない」
「弱音を吐いてはいけない」
「私が我慢すればいい」
こうした言葉を、
自分に毎日のように投げかけていないでしょうか。
自分に厳しくすることで、頑張って生きてこられた人もいます。
だから、それ自体を否定する必要はありません。
でも、身体までずっと緊張させ続ける必要はありません。
疲れたなら「疲れた」と認める。
嫌だったなら「嫌だった」と認める。
できない自分を責めない。
人に頼ってみる。
今日は休むと決める。
自分の気持ちを、自分だけは無視しない。
私はこうした「そのままの自分を認めること」も、
広い意味での「緩む力」だと考えています。
便秘は「もっと頑張れ」という身体からのメッセージとは限らない
便秘になると、
もっと食事を改善しなきゃ。
もっと運動しなきゃ。
もっと腸活しなきゃ。
もっと頑張って出さなきゃ。
と、さらに自分へ課題を増やしてしまう人がいます。
でも、すでに十分頑張っている人に必要なのは、
「もっと」
ではないかもしれません。
今日からできる小さな「緩む練習」
食事を整えることも大切。
身体を動かすことも大切。
排便しやすい姿勢を知ることも大切。
でも同じくらい、
ゆっくり息を吐く。
身体の力が入っている場所に気づく。
便意を後回しにしない。
休む時間を作る。
自分の気持ちを無視しない。
そんな小さな「緩む練習」もしてみてほしいのです。
まとめ|作る・巡らせる・出す、そして「緩む」
便秘改善とは、身体を無理やりコントロールすることではありません。
「どうして出ないの?」
と身体を責めるのではなく、
「今、私の身体は何を必要としているんだろう?」
と身体の声を聞いてみる。
作る。
巡らせる。
出す。
そして、緩む。
4つの力をすべて見ていくと、
便秘は単なる「腸だけの問題」ではなく、
今の自分の身体や生活を知る一つのきっかけにもなります。
もしかしたらあなたの身体が必要としているのは、
「もっと頑張ること」ではなく、
「もう少し力を抜いても大丈夫」
と教えてあげることなのかもしれません。
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※本記事は、便秘についての一般的な情報を提供するものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。













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